家の外側を考える。
Sep 01, 2011
先週からの続きで、OMソーラーの資料をもとに記載いたします。
【 家に庭をつくりこと 】 樹木が微気候をつくる。
木蔭が涼しく感じるということを私たちは経験的に知っています。単に日陰だから涼しいというだけではありませ
ん。樹木が1本あるだけで、その周りに冷気流が生まれるからです。森や林、公園などの緑地にそよ風を感じる
のは冷気流を生む樹木のメカニズムが働いているからです。
ご存知のとおり、樹木は根から水を吸い上げ、葉から蒸散さ
せています。水は液体から気体に変化する時に周りから熱を
奪います。これを気化熱といいます。
打ち水をしたり、魚屋さんが店先でよしずに水を掛けるのも
気化熱によるクーリング効果を利用した例です。水1グラムの
温度を1℃上げる熱量を1カロリーということを聞いたことがある
人もたくさんおられると思いますが、水1グラムが蒸散するときに奪われる熱量は何と600カロリーといわれてお
ります。葉から水分が蒸散することでそれだけ周囲の熱が奪われているようです。
太陽の日差しを受けた葉の周りには蒸散によって水分を含んだ空気が生じます。水分を含んだ空気、つまり葉
気という湿気が思い浮かび、重たく下に沈むように感じますが、実
水分を含んだ空気の方が軽く、そのため上昇します。雲はこんな
感じで生まれているようです。この働きがあるため、日にあたる樹
木の南側では上昇気流が生まれ、それを補うように北側の日陰に
は下降気流が生まれます。地面に近い場所は下降気流から上昇
気流への気流の通り道となり、これが冷気流というわけです。樹木
の周りではこのような空気の循環がおこなわれており、庭に樹木を植えることで冷気を家の中に取り入れること
ができれば、樹木は自然の空調装置までとは言わなくても涼しい風は室内に入ってくるのではないでしょうか。
家に庭をつくる、樹木などの緑を植えることは、単に美しい景観をつくるためではなく、微気候をつくる装置として
の役割が大きいと感じます。