OMシミュレーションについて Ⅲ
Jan 12, 2010
パッシブの3要素
OMソーラーの住宅では、十分にその働きを発揮するためには、「集熱」・「断熱」・「蓄熱」の3つの要素が必要です。
太陽が照ったり、夜間冷え込んだりと生活環境が変化する中、室内が暑すぎたり、寒すぎたりしないためには、取り込む熱量(集熱)や逃げる熱量(断熱)をコントロールしたり、移動する熱のスピードを遅らせたり(蓄熱)することが大切です。いかに、この3要素のバランスをとるかがポイントになります。
武岡の家を例にとってみます。
太陽の熱を取り込む。「 OM集熱 」 降り注いできた太陽熱からもらったエネルギーです。
種類 S型集熱パネル
大きさ ガラスあり部分 幅 7.78m×長さ 1.35m
ガラスなし部分 幅 7.78m×長さ 3.20m
向き 南から東へ -10.0度
勾配 26.6度
2月で日射量が最も多い日の集熱量
集熱量 44.700Kcal/日 OM対象床面積1㎡当り 326Kcal/㎡日
集熱温度 14時で53.8℃ その時のファン風量は 780m3/h
集熱量とは、太陽の熱で温められた空気によって、室内を暖めることができる熱量のこと。どのくらいの集熱があればいいのかと言われれば
心地よく過ごすためには基準として 300Kcal/㎡日が目安になります。
集熱面を増やすには、集熱面を大きくする、向きを南に近づける、勾配を太陽に対して直角に近づけるなどの方法があります。
熱を逃がさない 「 断熱 」 建物から熱を奪われるのを抑えます。
屋根 吹込セルローズ45K 120mm 熱損失の割合(計算結果)
天井 グラスウール 16K 100mm 外壁 31%
壁 吹込セルローズ45K 120mm 天井 7%
主な開口部(窓) 断熱サッシ複層窓 (Low-E) 屋根 7%
窓の夜間断熱 鋼製雨戸 換気 23%
相当隙間面積 5c㎡/㎡ 開口 24%
熱損失係数 1.70Kcal/㎡h℃ 床 9%
地域区分 Ⅴ地域
熱損失係数とは、建物の保温性能を示す値。室内外の温度差が1℃の時、床面積1㎡当り1時間に逃げていく熱量のことです。値が小さいほど、熱が逃げにくいことを表しています。
断熱をよくするには 壁や天井など各部位の断熱を高める(断熱を厚くする・高性能の断熱材の使用)、開口部(窓)の性能を高めることである。
熱を蓄える 「 蓄熱 」 日中、室内に取り込んだ熱を蓄え、夜間の温度低下を和らげます。
蓄熱量
床下蓄熱体 5485Kcal/℃ 蓄熱量の合計 9132Kcal/℃
柱梁+家具等 3647Kcal/℃ 床面積1㎡当り 64Kcal /㎡℃
熱容量とは、物質を1℃上昇させるのに必要となる熱量のことをいい、熱容量の大きな物質は一度温めると冷めにくい特性を持っています。OMソーラーでは、日中蓄えた熱により、日没後の室温の低下を和らげます。
蓄熱体にコンクリートをつかうのは?
OMでは、もともとあるものを使おうという精神で、基礎コンクリートは熱容量が大きいためたくさんの熱を蓄えておくことができる素材です。
シミュレーションを行うことで、まだ完成していない住宅の性能を予測することができ、計画上とても大切なことであることをお分かりいただけたのではないでしょうか。
OMソーラー住宅をお考えの方、これから考えて行こうと思っていらっしゃる方、どしどしご連絡ください。
よろしくお願いします。