OMだから 「間取りを考える」
Aug 04, 2009
われわれの住宅における個室分離型の歴史はまだ浅く、ここ30~40年しかたっておりません。室内を小さく間仕切り、ストーブなどの局所で暖房する温熱環境づくりは、住宅の室内の温度差、結露やカビの問題、身体への負担、結露による住宅の短命化などを生む要因となりました。OMソーラーによる暖房法は、伸びやかで広がりをもち、一体感のある空間や吹き抜けをつくることを可能にすることができました。
家づくりを考えた場合、「間取の数と大きさ」から考えてしまいがちです。どうしてそうなったのか、簡単に振り返ってみました。
私たちは、「LDK+何部屋(たとえば2LDK)」という表現をいいます。このLDKとは、一体何でしょうか。これは、1950年代後半、日本住宅公団(現・都市基盤整備公団)が導入した「DKスタイル(食寝分離)」から生まれた表現でした。日本の民家型住宅、いわゆる田の字プランにおいて一緒だった「食事をする部屋」と「眠る部屋」を分けたものでした。そして、60年代前半、以前は面積的な余裕がないことから設けられなかったリビングルームが、
「LDKスタイル(公私室分離)」として加わりました。ハウスメーカーの誕生によって、住宅における食寝分離と公私室分離は急速に進み、現在に至っているのです。
一般住宅において常用語ともなっている「LDK」の始まりはこんなところだったのかも知れません。
このように、日本の住宅における個室分離型化の歴史は浅く、わずか30~40年しかたっていないのです。日本の住まいの姿が大きな変化をなしてきたその足並みと重なることは明白なところであると思います。
室内を小さく部屋に間仕切り、局所暖房をする温熱環境づくりが生んだ問題
「DKスタイル」が誕生したころ、日本の住宅性能のレベルは、「温熱環境づくり」という点に大きな不安を抱いていました。かつての住宅は、断熱・気密性能が不十分であり、また、セントラルヒーテイングなどは、イニシャルコスト・ランニングコストの面から、その導入はほとんどありませんでした。したがって、一般の住宅では、室内を小さく部屋に間仕切り、ストーブなどでその部屋ごとに、またその一部分を局所暖房する温熱環境づくりが普通でした。しかし、そのことが住宅内の温度差をつくり、結露やカビの問題、身体への負担などを生み、さらには、温度差による結露が住宅の寿命を縮める原因となったのではないでしょうか。