自然の力を活かそう
Sep 16, 2009
OMソーラーは、基本的には自然エネルギーを利用して、家の中の環境を一年を通して調整しようとするものです。そして、暖かい涼しいという効果に絞れば、冬に利用する日射は、エネルギーが大きくその利用は比較的簡単ですが、夏に利用する涼風は、暑さの原因となる日射に比べて小さいのが現実です。しかし、夏向きの住まいや暮らし方は、日本人が長い経験と工夫から知るところのはずです。パッシブの面から見て、夏の住まいを考えてみようと思います。
暑い家、暑くない家。
クーラーがなかった時、私たちは、誰もが打ち水やすだれ、浴衣など、夏の暮らしを工夫してきました。日常の暮らしの中で機械を使う前に、パッシブの基本からできている、現代の夏の工夫も結構あります。パッシブの基本からの夏の工夫のキーワードは、「風通し」 「日射を遮る」 「エアコンに頼らない工夫」の3つです。
打ち水にすだれ、浴衣にかき氷など、夏の暮らしに工夫を加えてきた
まだ、クーラーがなかった時代、私たち日本人の誰もがやっていたことを、少し思い出してみましょう。
● 水の活用する
「打ち水」や「素焼きの瓶に水を張る」など。これらは、水が蒸発するときの気化熱で、熱が奪われることを利用した採涼法です。
● 日射を遮る
「すだれ」を窓の外に垂らしたり、立て掛けたり、また落葉樹などの「植栽」を植えることで日差しが屋内に入ることを遮ります。植栽による効果は、樹冠がその侵入を妨げているだけでなく日陰になった地面の保水効果と、小さな葉の重なり、うtまり、一葉でなく、幾葉もの重なりによってもたらされる、蒸散作用によるものです。
● 浴衣で涼む
「浴衣」や「甚平」など風通しのいい衣服は、汗が乾きやすく、気化熱で熱が奪われるのを促進する働きを持っています。
● 耳で涼む
軒先や窓辺につるされた「風鈴」。この音色が、涼しさを感じさせます。「川のせせらぎ」の音なども同じ感じ方をするのでは。
● 食で涼む
「かき氷」や「冷えたすいか」。想像しただけでも冷んやりするこれらは、昔も今も変わらぬ、夏の風情であり、採涼法です。
● 風を生む
「うちわ」や「扇子」。蛇足ですが、機能性と同時に、美しいデザイン性や色彩感覚をも求めるところに、日本人がもつ繊細な感性が感じられます。
● 目で涼む
夏の夜空を彩る「花火」、鮮やかに色づく「ほおずき」、爽やかな花弁「あさがお」など、暑さと親しもう、楽しもうとした日本人の心が感じられます。
現在では、風を生む扇風機も使われる機会が少なくなりました。扇風機も「かつて」のものになりつつあります。それだけ、エアコンに頼る生活が広がっているということでしょう。
たしかに、室内の温度を急激に下げたり、除湿したりするには、エアコンを使う必要があります。真夏の照りつける太陽のもとを外回りする営業マンの方々は、エアコンが送り出す冷風に、何とも救われる思いでしょう。
しかし、日常の暮らしの中においては、機械(エネルギー)を使う前に、まず、「パッシブの基本」からできる現代の夏の工夫というのも結構あるのではないでしょうか。