家の外側を考える。
Oct 18, 2011
自生種で庭をつくる。 日本の自然はもはや不自然
OMソーラーの社屋 【 地球のたまご 】のランドスケープをけいかくしていただいた田瀬さんは、同じ緑化す
るにしても在来種、自主種にこだわって緑化することが重要だといわれています。「 特に都市部では自然に生
えてくる植物のうちおそらく8割は帰化植物(外来種)という状況です。代々木公園など公園の緑も少種の造園材
料から構成されているに過ぎず、多様な在来種が守られているのは東京の都市部では明治神宮ぐらいです。」
地方や農山村にも外来種が入り込み、在来の植物が次々に絶滅危惧種に指定されているのが現実です。植生
的にはもはや純粋な日本の現風景を見ることは少ないといいます。自然とは、あるいは生物多様性とは、本来そ
私たちが何気なく見ている日本の自然風景は
植生的にはもはや不自然な風景というべきな
のかもしれません。植物が保持されないと植物に集まる虫や
鳥なども変わってきます。明治神宮では多様性が保たれてい
ますが、その他の公園や住宅地などでは、ヒヨドリなど特定の
種だけしか見ないのではないでしょうか。
田瀬さんはこのような日本の現状を次のように言われておられます。「今、日本から在来種の草が次々と無くな
っています。一つは、農業のやり方に問題があります。除草剤の影響です。昔に比べ畦は狭くなり、刈った草は
何の役にも立ちません。循環しないのです。ひと昔前まで、草刈りは生産的な行為でした。住宅地でも隣家の樹
木の落ち葉を許してくれません。農村から牛や馬の姿が消えた1970年頃から住宅建材も外在化されました。
家も風景もまちの景色も日本中がが同じになりました。植物の生産者や造園業者も流行のものを扱い、地域の
材料のことはあと廻しです。国も地域も規制しない、意識の高い人たちが細々と努力しているのが実情です。」
社会は生産性、効率を求め、その結果として画一化が進行しました。そのほうが社会のシステムが安定すると
思い込んできたのです。しかし、そうでないことに人々が気付きはじめています。田瀬さんは子ども時代を武蔵
野の雑木林が身近にある環境で育ったとのこと。首都圏で仕事するときは当たり前のように武蔵野の原風景の
再生をめざします。もとあった自然や本来の生物多様性を回復するというのは非常に素直な発想です。せめて
人が植える植物は、在来種、自主種にこだわるべきであり、それが意識的にできる数少ない場所が”家庭の
庭”なのです。